Diner対談

- 城南海
- 今年デビュー3年目を迎える、奄美大島出身のシンガー。
2009年1月シングル「アイツムギ」でデビュー。NHKみんなのうた「あさなゆうな」やNHKドラマ「八日目の蝉」の主題歌「童神~私の宝物~」が広く知られ、また、ニューヨークで行なわれた「Japan Day」や、「上海万博」、「上海ジャパンウィーク」のステージに出演するなど、国境を越えさらに活躍の場を広げている。
今年9月に約1年半振りのCDシングル「兆し」をリリース。今後の活躍が期待される。
第1回
松本 GOING UNDER GROUND松本素生でーす。
河野 ドラムの河野丈洋です。
城 城南海でーす。
松本 はーい、よろしくお願いします
河野・城 よろしくお願いします
松本 そもそも、丈さんが今回城さんに曲書いたじゃん、曲も書いたしプロデュースもしたじゃないですか?
河野 うん
松本 その前から二人は面識はあったの?

城 えーっと
河野 いや、あのね一昨年ぐらいだっけね?
城 はい
河野 一昨年の夏の野外フェスだね。そこで1回会ってるんだよね?確か。
城 はい、お会いました。
松本 そこが二人の初対面ですか?
河野 そう。あの時は、別に城さん出演してはいなかったよね?
城 出て無くて、あれ何の時でしたっけ?
河野 あのーJAPAN(ROCK IN JAPAN FESTIVAL)
城 そうですそうです。確か、はい。
河野 あの、PONY CANYONのディレクターさんが紹介してくれて。
城 はい。
河野 そこで初めて会って、「上から読んでも下から読んでも、キズキミナミです」っていう挨拶をされたのがすごく印象的で(笑)
城 (笑)
松本 すげーなぁ、絶対それ小学校の頃から使ってるでしょ?
城 使ってます(笑)。小学生の頃に気付いて、結構自慢だったんです。
松本 で、去年ゴーイングのライブにも来てくれたじゃないですか?
城 はい。
松本 で、みんなでスペシャダイナーに打ち上げも行ったよね?
城 はい、打ち上げも行って。
河野 うーん。
松本 覚えてない?(笑)
河野 覚えてる覚えてる。でも、そのときはもう楽曲提供の依頼があってからだよね?
城 はい、その前に丈さんのソロのライブにも行かせてもらってるんですよ。
河野 そう、僕のソロツアーで吉祥寺で最終日やった時に、城さん観に来てくれて。その時にね、本当に楽曲提供お願いします、みたいなこともあり・・・で、あれは確か・・・いやっ?ちょっと待って、話の順序が。(笑)
城 (笑)
河野 あの、ちょっと話が前後しちゃうんだけど、最初に楽曲提供の依頼が来たのは、去年の2月ぐらいだったような気がしたんだよな。で、ソロツアーの最終日が4月だったからその後か、GOINGのライブ観に来てくれたのは。
城 そうですね。
松本 城さんはもともと、自分で音楽を作るっていうよりは、歌い手っていうことで活動しているんですか?
城 そうです。何曲かちょこちょこはあるんですけど、基本はもう歌い手で。
松本 デビューしたのも歌い手でっていう。もともと歌い始めたのは、いつからなんですか?
城 えっと、私奄美に13歳まで住んでいたんですけど、16歳の時に鹿児島に出たんですよ。
松本 はい。
城 それで、鹿児島で、歳の離れた兄がシマ唄を歌ってるのを聞いて、私お兄ちゃんっ子なんで、兄に着いて色んな所に遊びに行ったりして、シマ唄を歌ってるのを聞いて、自分も歌い始めるようになったのが16歳の時。
松本 それは、それまでそんなに興味があることではなかったということですか?
城 そうですね、自分の地元の音楽なんですけど、奄美に居る時には興味がなくって。逆に鹿児島に出てから、なんかそういうシマ唄を歌う人が周りにたくさんいて。やっぱり鹿児島に出ると、故郷を離れて故郷の良さに気付く人がいっぱいで。そういう環境が自分の周りにあって、影響を受けた感じですね。
松本 なるほどねぇ、カントリーロード的なことだね。じゃあ奄美の若者って、東京に出るっていうよりも、まず鹿児島に出る人が多いの?
城 もう、俄然そっちですね、多いです。急に東京に行ける人、多分あんまりいないと思います。
松本 日曜日にドキュメント番組やってるじゃん?『ザ・ノンフィクション」ていいう。そこで奄美の島唄のことが何ヶ月か前にやってたんだけど、そこでも同じ事言ってた。奄美の女子高生が就職の時期なんだけど、東京とか全然考えてないみたいな。行っても大阪みたいな。
城 そうです!大阪です!大阪すっごい多いんですよ。島の人が。
松本 なるほどねー。
城 奄美には大学がないので、やっぱり進学、就職を島で考えてない子は、だいたい鹿児島、福岡、大阪あたりに出て行きますね。
松本 なるほど。えっ、じゃあ16歳の時は城さんもまだ鹿児島で学生だったっていうことですか?
城 そうです。
松本 お兄さんはもともと、なんでシマ唄を歌い始めたんですか?
城 兄も、奄美に居るときはシマ唄に興味がなくて、やっぱり大学入学と同時に島を出て鹿児島に来て。都会に出てすぐだと、最初は楽しくてふるさとを想う気持ちはあんまり強くならないんですよ。で、時が経つに連れて、奄美と鹿児島って同じ県内でも、自然も、人の言葉とか食べ物もそうですし全然違っていて。それで、兄もどんどん奄美を想う気持ちが強くなって、私が中学生ぐらいの時に兄がシマ唄を独学で始めたんですね。で、シマ唄って流派とかあって、鹿児島で教えてる先生も多いんですけど、兄はそういう先生にはつかずに、色んな人のシマ歌のCDを買って来てそれを聞いて、ずーっと練習。車の中でも三味線弾いたり。
河野・松本 へぇー
城 それで、どんどんどんどん兄は覚えていきましたね。
松本 俺たちは埼玉県民で東京に出たんだけど、そういうの一切無いじゃん?
河野 そうだね、独学ってのが凄いね。でも、シマ唄って元々そうやって伝わったものなんでしょ?
城 そうです。結構、飲んだり食べたりする場で、ウタアシビっていうのをやるんですけど、歌で遊ぶって書いて唄遊び(ウタアシビ)っていう。
河野 うん。
城 それで、なんかそういう場でセッションみたいに作り出しながら、みんなで遊ぶ。そういうのが伝わってきたものだから、基本的に楽譜とかはなくって。
松本 もうそれぐらい、島に住んでる人は文化としてあるみたいな?
城 そうです。
松本 みんなで飲む時に、「ちょっとシマ唄歌おうか!」みたいな?
城 そうです。元ちとせさんが有名になってからは、若い子達もシマ唄を習いたいっていう子が増えて。今でこそ、シマ唄の教室とかに通いたいって子はいっぱいいますけど、もともとはそうやって伝わってきた音楽ですね。

松本 なるほどねー。そうやって城さんも16歳ぐらいからシマ唄に興味持ち初めて、歌ってみようってっていうことになったんだね。
城 はい。
松本 でも普通の高校生だったら、例えばJ-POPとかそういう音楽をやってみようとか、面白いって思う気が俺はしちゃうんですけど、でもそこは、独特ですよね?自分のふるさとを想ってシマ唄歌うんだみたいな。
城 友達と二人でJ-POPっていうか、普通に曲を作って歌うユニットも組んでたんですよ。私がコーラスとピアノで、友達が歌で。
松本 それはなんで組んだの?それも16歳ぐらいの時?
城 高校に入学して、私、音楽科だったんですよ。歌じゃなくってピアノで。ずっとクラシックのピアノの先生になろうって思っていて、それで友達に歌手になりたいっていう子がいて、一緒にやろうよって言われて、一緒にやっていたんですよ。
松本 じゃあ、それはもう遊びみたいなことだったんだ。
城 そうです、でもオーディション受けたりとかはしてましたけど、全然受からず。(笑)
松本 なるほどねー。そして、今回丈さんが作曲とプロデュースを手掛けた。
河野 うん。
松本 今までの話聞いた所だとさ、城さんは完全にシマ唄から出てきた人っていう印象が俺はあるんだけど、そういう人と仕事するの初めてでしょ?丈さん。
河野 初めてだね。僕もね、最初にどう捉えていいかわかんなかったんですよね。完全にシマ唄をやってるっていう訳でもないし、かといってどういう曲が良いかなって考えた時に、いわゆるよくある感じのポップスの歌詞とかだとすごく合わないような気がしたのね。なんか存在が浮いちゃうっていうか。
松本 だから当時悩んでたの(笑)?どうアプローチすればいいんだろうみたいな?
河野 うん。この歌い手に対して、曲と歌詞でどうアプローチしたら良いのかっていうのは最初全く分からなくて。ただね、初めて歌声聞いた時に声はやっぱりすごいなって思った。もう凄い、ギャップはあったんだよね(笑)。普段ね、城さんこうフニャーンみたいな。
城 (笑)こんな感じなんです。
松本 そうだよね、そのしゃべり声からあの歌声は想像できない。
城 (笑)
河野 だけど、歌うとシャキってするから、おぉー、これは凄い!と思ったね。
松本 俺も1つ思ったんですけど、奄美のシマ唄のコブシっていうのか発声法なのか、それこそ元ちとせさんとかもそうだけど、独特じゃないですか?
城 はい。
松本 俺も歌を歌うから、そういうのを端から見ていて、例えば色んな歌があった時に、全部シマ唄の唄い方で、節で、コブシで歌うのか?とか、この曲は、コブシ回さないで歌おうとかっていう心の置き所は、何で決めるんですか?
城 あのー・・・距離感ですね。
松本 距離感っていうのはどういうことですか?
城 もともと、シマ唄を歌っていて、さっきも言ったように、楽譜がないから、ずっと島の人の心の中からでた言葉を紡いで伝わってきて、今がある訳ですよね。私はそれをルーツとしているから、その想いを伝えていく歌い手っていうのが自分の役目だと思っているんです。
松本 うんうんうん。

城 で、その想いを伝えるっていうことは、曲の中の想いをより聞いてる人に伝えるために、それに合ったグインの入れ方が必要だと思うんですよ。
松本 グインってなんですか?
城 グインって、コブシのことなんですけど。
松本 あっ、コブシ!「いぃいいい」ってところですよね?
城 そうです、「いぃいいい」って声が裏返るところをグインっていうんですけど、想いを伝えるっていうのを一番大事にしているので、グインを入れすぎて何言ってるのか分からなくなっても意味が無いから、曲によって、ここは入れる、ここは入れないっていう風に分けていて。そのグインの発声法自体が、瞬間的に裏声を「うわぁんうわぁん」って入れるから、声量の幅がすごい広がるんですよ。耳元で囁くようなそういう歌い方しないじゃないですか?こう、「うぅううん」って。
松本 うんうん。
城 息をブワァって出すような、AメロとかBメロとか耳元で囁いているような所は、グインをあんまり入れなかったりして、サビでわぁーって広がって行ったりとか、遠くの人に語りかけるとか、そういう所はグインを入れたりとか、なんかそういう、聞いてる人により伝わりやすくするという距離感をグインで表現している感じですね
松本 もともとグインっていうのは、大事な部分を伝えるための手法っていうことなんですかね?シマ唄の中でも
城 そうですね。シマ唄って言っても、北と南に分かれていて、北の方は地形的になだらかな、あんまり山とかない地形で。南の方は、山がいっぱいあったり、峠があったりする所で、グインは割と南の方の「ひげ節」っていう歌い方の人がいっぱい入れるんですよね。その地形的なこともあるだろうし、あとは元々、薩摩藩から支配されてきたときに生まれてきたブルースみたいなものが奄美のシマ唄なので。
松本 うん。

城 そういう想いを遠くの人に伝えるとか、言葉とか歌い方で、ブルースみたいな歌詞を薩摩藩の人に、悟られないようにグインを入れて分かりにくくしたりとか色んな説があるんですけど。
松本 でも、全部あるんでしょうね、その説。
城 全部あると思います。
松本 なるほどねぇ。
第2回
松本 じゃあ話を戻すと、丈さんは城さんの曲を作ってる時に難しいなぁって思った訳じゃん。
河野 うん。
松本 その時に今話に出た、グインも当然入るであろうって事も想像しながら作ったの?それとも、いつも作ってる時みたいに、まず良い曲を書こう、それを如何ようにも歌ってもらおうっていうことで作ってたの?
河野 うん。
松本 もう、俺一緒にやってるから分かるけど、この曲は俺のこういう気持ちを込めてるから、出来た時にその完成形が見えてるよね?
河野 そうだね、それまでが長いんだけどね。
松本・城 (笑)
河野 腰を上げる時はそうだよね。全体像が見えたときだから、それはもちろんあったよ。でも、思い通りにしたいっていうのはなかったかなぁ。まぁ、そのグインも当然普通に入ってくると思ってたし、それがあってこそだと思ったから、城さんの歌っていうのは。うん。
松本 そこはもう想定しながら曲を作って完成に向かって行ったの?
河野 そうだね。歌詞は、なるべく強いものにしたかったんだよね。
松本 強いものって、言葉的にってことですか?メッセージ的に?
河野 なんかね、初めて会った時の城さんの印象っていうのは、さっきも言ったけど、ふにゃぁーっとした、なんかお花畑が見えるみたいな。
松本・城 (笑)
河野 みたいな感じなんだけど、歌ってるときに纏っている雰囲気が・・・それは実際にライブを観ても思ったんだけど。
城 はい。
河野 なんていうのかな・・・あの・・・白い?
松本 白い?
河野 白い色が見える。
松本 オーラパワーが?
河野 あのー何て言うのかな。えーっとこう毅然とした感じというか。
松本 うん。
河野 なにかこう、神的な、女神様のような。普通の人に対して自然に何かを語るのではなく、海の向こうの向こうまで届くような言葉っていうのがすごい似合う気がする。全然ね、城さんが偉そうとかじゃなくってね。
城 はい。
河野 歌い手として、声にもう人格みたいなのがあったから、なるべくその「会いたいけど会えないわ」っていう歌じゃなく、直接、魂と魂で歌って聞く、みたいな歌にしたくて。その辺は色々考えたね。
松本 結構あれなんですかね、城さんにはシマ唄っていうのがまず下地にあって、それを伝えていくって部分に歌手としてのプライオリティがあるんですかね。何で自分は歌うのかっていうのは、みんなそれぞれあると思うんですけど。
城 はい。

松本 俺はもうちょっと欲張りっていうか、なんて言ったらいいのかな。誰かの思いを伝えるっていうよりも、もう自分の思いだけっていうか、そこだけっていう。だけど城さんは違うんですよね?音楽をとらえた時や、歌をとらえる時に。
城 うーん。
松本 俺たちと歌い手としての違いはそこじゃないかなって思います。
河野 うん、そうだね。
城 生み出すというよりかは伝えて行くっていう。
河野 うん。なんかこう、憑依系だよね?
城 そうですね。(笑)
松本 生み出すってことに関してはそんなにカタルシス(感情が開放され気持ちが浄化されること)を感じないんですか?その・・・良い歌があった、これを私が作ったっていうよりも、良い歌がある、これを気持ちよく自分の歌いたいように歌えるっていう事の方が重要っていうことですよね?
城 そうですね、それを後に残して行く、後世に残して行く。シマ唄と同じようなとらえ方ですね。
松本 はぁー、それは俺と違いますわ。そりゃあ白いオーラも見えるんじゃないですか(笑)?
城 (笑)
河野 ねー。
松本 俺とかたぶんオーラの色、金とかじゃない?
城 (笑)
松本 赤とか、もう強すぎる色が出てんじゃないかなぁ。
城 強い(笑)
松本 城さんから見てレコーディング中の丈さんの感じってどうでした?俺は見てないんで分からないですけど、普段結構厳しいんですよ?
城 えー?
松本 バンドの中でもプロデューサー的な立ち位置にいるから。
城 そんなに、厳しくは・・・
松本 怒られたりはしなかった?
城 怒られたりはしませんでした(笑)。結構最初っから自由に歌わせて頂いて。
松本 なるほどね。あと意外と無口じゃなかったですか?そんなことないですか?
城 丈さん、私最初っから無口だと思ってました。(笑)
河野 うん。
松本 そっか、以外と無口っていう使い方は俺が無口だったりするときか(笑)。
河野 そうだね。
松本 そういえば丈さん、曲作ってプロデュースしてレコーディングまでちゃんとやったのは、城さんが初めてじゃない?
城 えー?
河野 そうか。歌詞と曲、楽曲提供まではあったけどね。それを自分が現場に入って一緒に作るっていうのは、城さんが初だね。
城 おー!
松本 記念すべきというか第一弾というか、丈さんにとっても初めての仕事の仕方じゃない?

河野 そうだね。
城 嬉しいです。
松本 緊張は無かったの丈さん?
河野 緊張は別に、うーん。
松本 曲が出来ないこと以外には特になかった?(笑)
河野 そう、ボーカルのレコーディングに関しては、僕は全然心配してなくて、最初っから全然良かったし、もう別に何も言うこと無いの。何回かやればピッチなんて合うしさ。声の出し方ができてるから、もういいじゃんってなっちゃってさ。(笑)
松本 城さんって、「私、歌向いてるじゃん」って思ったのは、16歳でシマ歌い始めた時ですか?だって、もともとは、ピアノで音楽の学校入ったって言ってるぐらいだから、私は歌だなって気付いちゃったのは、その16歳の時?
城 うーん。最初はホントにシマ唄を広めたいっていう。趣味で、独学で自分の好きなようにやってたんですけど、歌手になりたいって思ったのは、オーディション受けて、受かってレッスンしてる期間中ですね。
松本 えっ、じゃあ歌を歌ってる時に、何もかも嫌な事も忘れられて、歌が好きだなとか、そういう気持ちもスカウトされるまでは、あんまり思った事もなかったんですか?
城 なかったですね。なんかシマ唄を広めたいって気持ちのために歌いたいっていう気持ちはあったんですけど、自分にすごく歌が向いてるとか、歌手としてやっていくっていうのはなかったですね。
河野 うーん、そうなんだ。
城 はい。でも、その音楽高校では主科が音楽で、副科でクラシックの方の歌を専攻してたんですよ。けど何故か歌の方が成績が良くって(笑)。自分的にはピアノが良い方が良かったんですけど。ピアノ科だから。(笑)
松本 なるほどね。
城 だから、その時点で歌の方が成績良いぞ?っていうのはちょっとあったんですけど。
松本 例えば学校の友達とかから「アンタ歌上手いよね」みたいなことで、褒められたりとかしなかったんですか?
城 ありましたね。
松本 それでもやっぱりピアノが良かった?
城 ピアノでしたね。主科がピアノだったんで。クラシックの歌は、またシマ唄とも全然違いますからね、歌い方も。
松本 才能って言っちゃえば簡単ですけどね。もうずーっと城さんの中では、「歌ってこれぐらいでしょ?」っていう水準があった?そのレベルが高かったのかな?
城 いやぁ、シマ唄を始めた時に、覚えていけたのはクラシックの土台があったのが一番大きいと思うんです。そこからシマ唄は、そういう唄遊びの場とか、お祭りとか呼ばれて歌うようになったりしたんですけど、なんか、そういう場に歌いに行き、経験しながら覚えていって、同時に歌の良さも覚えて行ったという感じなんですよね。
松本 でもそういう場に歌いに行って、「あの人めっちゃ歌上手い!」みたいな反応もある訳でしょ?
城 反応があって、「あぁ、歌いに来て良かった」と思うのは、そのシマ唄のときからありましたね。それから一人で三味線持って色んな所に歌いに行ったり、ラジオにも出させてもらったり。
松本 そもそも、奄美のシマ唄っていうのは、さっき言ったみたいに唄遊びの場で歌うものが基本で、一人で三味線持って歌を歌う人がいて、それをみんなが聞きに行くっていうことではない?
城 はい。もともとは三位一体っていうか、お酒とご飯でみんなで集まって歌うっていうスタイルで。
松本 いいなぁー。丈さん多分、俺たちがバンドをやるっていうのとは、またちょっと違う所だと思いませんか?その、かたや自分の思ってる事を歌にするっていうのが俺たちだとすると。
河野 うんうんうん。僕は一緒にレコーディングで作業してるときに自然と考えたな色々。良い歌ってなんだろうなとかって。僕はバンドをやってるから、歌のこと以外にも曲のアレンジとかさ、ギターの音がとかドラムの音がとか、他にも考える事あるけど、城さんの場合は、新しい曲があがってきて、歌ってみてとか、ライブやって、常に自分と歌との関係でやってる訳でしょ?
城 はい。
河野 なんか、それはすごいなぁって思って、ずっとそれでやってきてる訳だから。それは僕らとは、音楽に対する向かい方が全然違うよね。
松本 結構俺、歌で悩んだ時期って言うのがあって。まぁ今でもすごい色々考えるんですけど。歌って基本は、誰かに想いを伝えたいっていうことだけじゃないですか?
城 はい。
松本 それが商売になる、ならないは別にして、歌を歌うことが好きで、歌で心を解放するみたいな。そう思えた時に、歌が上手いとか下手だとかは、もう分からなくなっちゃう。ピッチが良ければ上手いのか、とはいえ上手だけど何も感じない歌だってあるし。だから歌の良し悪しっていうのは自分がDNAレベルで一番いいなと思ったものであって、城さんやお兄ちゃんが鹿児島に出た時に「あっ!何かシマ唄歌いたい!」それで故郷を想う、みたいなことでもあるし。なんか歌はそれ以上でもそれ以下でもなくて、そういうもん。だけど後で付加価値とかが付いていって、ビジネスが成り立ってる訳だけどね。
河野 僕もそう思う。何か自分の中でさ、バックグラウンドっていうか、一つ魂があれば、歌って全然下手に聞こえないんだよね、本当は。城さんはそういうのを最初から持ってる人だから。そういう意味であれば、ピッチは合ってるけど何も胸に響かない、みたいのは、それは歌じゃないみたいな事になってくるんだけど。
松本 あともう1個だけちょっと真面目な話させてもらって良いですか?個人的に。
城 はい。
松本 自分が歌手、歌い手っていうスタンスだと、曲を誰かに書いてもらうとか、ある歌を歌ってみるって言う時に歌詞がある訳じゃないですか?歌詞はその人の魂だと思うし、メロディーもそうだと思うし。そこを例えばさっき言ったみたいに、どういう風に距離をはかって歌うんですか?俺、ものすごく好きな歌なら人の歌でも歌えるけど「この曲あんまり好きじゃないな」っていう曲だったら、まったく覚えられないし、全く歌いこなせないみたいな気になるのね。そこってどうしてるの?私は歌い手として伝えて行くっていうスタンスで言うとどういう風に歌の中に踏み込んで行くんですか?
城 自分と重ね合わせたりとか。
松本 どこか重なる部分を見つけるっていうこと?
城 そうですね、何かしら共感出来る部分とかを見つけて、その曲の中に出てくる人とか、描いてある風景とか想いとかみたいなのを自分の中に取り入れるっていうか、どんどん自分と重ねていって、なんだろ、例えば「離れているけれど繋がっている」とかだったら。
松本 うんうん。
城 遠くの人のことを想ったりとか、結構自分と重ねていることが多いですね。
松本 なるほどね、勉強になりました。
城 いえいえ。(笑)
第3回

松本 また話をがらっと変えるんですけど、城さんって普段何やって遊んでるんですか?例えば休みの日とか。
城 (笑)えっと、昨日は休みだったんですけど、映画を見ましたね。結構映画好きで。
松本 何の映画見たんですか?
城 昨日は「ロサンゼルス決戦」っていう新しい映画を。
松本 面白かった?
城 面白かったですよ。エイリアン対地球、エイリアンが侵略してくるっていう感じなんですけど。
松本 最近さ、宇宙人ものが多くて
城 多いです、多いです。

松本 今度12月にも「宇宙人ポール」っていう映画が上映されるんだけど、果てしなく面白いらしいのね。なんか宇宙人と地球人が仲良くなるって言う設定の映画で。
城 はい。
松本 最近、宇宙人とやりあうっていうか、コミュニケーションとってる映画がやたら上映されてるから、俺そろそろ、本当に宇宙人が来るんじゃねーかなって思って。
河野 あっ、なるほどね!心の準備を。
松本 そう!そういう映画で心の準備させておいて。
城 なるほど。
河野 ホントにそろそろ来るんじゃないかと。
松本 うん。
河野 なるほどね。
城 思っちゃいますよね。
松本 絶対あると思うんだよなぁ。じゃあ、休みの日は映画見たり?
城 映画見たり、知り合いとか友達とご飯食べに行ったりとか、整体に行って体のメンテナンスしたりとか。
松本 あれ?今いくつでしたっけ?
城 21です。
松本 若いんだ。そっかぁ。
城 大学の子とか、普段全然遊べないんで、そういうオフの日とかに会ってご飯食べたりとか。
松本 じゃあ普通に、ギャルトークみたいなことになるの?
城 しますよ。
松本 あの男は最低だ!みたいな?
城 (笑)
松本 あの彼氏最低じゃない?みたいな。
城 あのー、恋愛系、なんかそういう話しますね。
松本 なるほどねぇー、女の人ってさ、なんであんなに無駄な会話するのとか好きなんだろうね?それこそ喫茶店とかに一人で考え事しに行った時とかに、女子たちの会話が聞こえてくるんだけど、どーでもいい話を2時間ぐらいしててさ、最初始まった話が、最後には全く関係ない話で終わってたりするのよ
河野 いや、そこに別に意味はないでしょ?ただおしゃべりが好きなんじゃない?
城 そう。女子は、そうやってしゃべって、その人となんか繋がっているみたいな、一緒に楽しむみたいなことが好きだと思うんですよ。男子みたいに、なんか結論を出したりとか、あるものに対して深く考えるとか、そういうことよりも、そのおしゃべりしてる感覚っていうか、その空気を一緒に楽しんでるっていう方が女子は大きいと思います。
松本 それじゃあ男の人も同じようにすればいいってこと?例えば、俺が彼氏だったとして、デートの時に「これはこうだよね!」って言っちゃうよりも、あんまり会話が途切れないようにずっと良い感じで会話が回ってるっていうのが良いのかな?
河野 そんなの無理だよ。

城 (笑)多分、根本的に男性と女性の感覚が違うんで、お互いがそのままでいて、妥協出来る所はお互いに妥協する、みたいなのが一番良いと思うんですけど。
松本 なるほどなぁ。
城 (笑)
松本 (笑)じゃあ、例えば奥さんと2人でちょっとお茶しに入ろうか、っていう時に丈さんどうしてんの?
河野 それはなんか、自然にしゃべるけどね。でも、しゃべらない時間があってもお互い全然気にしない。
松本 なるほどね。じゃあ城さんにはあえて、21歳の女の子ってことで、ここは歌手とかっていうのは取っ払って聞くんですけど。
城 はい。
松本 俺家だと、そんなつもりないんだけど、無言なんだって。それで、なんかおじいさんと暮らしてるみたいって家族によく言われるんだよ。
城 (笑)
松本 家で、その女性と一緒に居た時にどういうスタンスで居るのがいいのかなって?
城 うーん。私個人的には、もともとそんなしゃべるタイプじゃないんで。
松本 じゃあ、2人でずっと黙って漫画とか読んでても大丈夫?
城 大丈夫ですよ。
松本 素晴らしいな。全然しゃべんないですよ、俺。
城 ええー?
松本 でも、丈さんは分かるでしょ?
河野 分かる分かる。そこで頑張って気を遣ってもしょうがないみたいな。
松本 そう。俺も女性とはそういう間柄になりたいんだけど。これが、その気持ちがわからないんだよね。
城 私全然いいですけどね、なんかそういうのでも。
松本 俺、丈さんと一緒にいるときでも、全然無言の時もあるもんね。
河野 僕もそうだね。色んな人を「この人怒ってるのかな?」って思わせてしまうタイプなんだけど。
城 あー。(笑)
河野 あんまり親しくない人に対してでも、気を遣ってしゃべったりしないから、よく人を不安にさせるんだけど。
松本 だって俺、最初15歳のときに・・・!
城 はい。
松本 ウチのバンドは幼なじみで、メンバーみんな中学校1年生ぐらいから知ってて。
城 ええー。
松本 最後に丈さんが15歳の高校一年生のときに、ウチのバンドに入ってくるんだけど、今まで出会った事ないくらい無口な人だったから。最初にナカザ(GOING UNDER GROUND中澤)ん家の部屋でお見合いみたいな感じで会ったんだよね?
城 えー?
松本 ナカザが「今度コイツをゴーイングに入れようと思うんだけど」みたいな感じで連れて来て。俺はそこで「初めまして」っていう感じだったんだけど、それが会っても無言・・・みたいな。
城 無言。(笑)

河野 それが僕、全然覚えてなくてさ。
城 (笑)
河野 僕は自然体だったからさ。何も思ってなくて、まさか素生がそんな気持ちだったとは・・・
松本 すごかったー。「音楽何聞くの?」「ビートルズとクイーン・・・」会話終わり!みたいな。
城 (笑)
松本 ナカザもナカザで、どういうつもりか分かんないけどさ、「ちょっとジュース買いに行ってくるわぁ」って居なくなっちゃって、ホントナカザん家の部屋で2人っきりになったよね?。
城 (笑)
松本 じゃあそう思ってたのは俺だけか〜。気遣いだから、俺。
城 あーわかります。私も気遣い。
松本 だから家で無言でもいいんだよ。気遣いな人は絶対そうだと思うけど、以外となんか美味しいもの食べながらお酒とか飲みたいなって言う時に、6人ぐらい居ると場の空気のほうが気になっちゃってさ、ご飯とか楽しめないでしょ?
城 あー、気になります。
松本 だから、本当にお酒飲みたいときとか、お店に行くとしても絶対2人だね。
城 結構お酒の場でしゃべるタイプですか?
松本 しゃべる。でも、それも別に苦痛じゃないんだよ。それを多分スマートに一緒にできないから、空気の方が気になるっていう。丈さんはまったく逆だからね。
河野 うん。
松本 だから俺は、丈さんの最初の印象とかで城さんに失礼があっちゃいけないなぁ、みたいな風に思ってたけど、そういうのは別になかったんだもんね?
城 はい。
松本 この人怒ってんのかな?みたいな丈さんが。
城 結構、最初から無口な人なのかなって思って、。怒ってるかなとは思わなかったですね。
松本 良かったですね。
河野 うん。
松本 怒ってんの?って聞かれた事あるもんね。(笑)
城 えー?
河野 それは何度もあるよ。(笑)
松本 じゃあ、城さんは毎日どっぷり音楽の旅をしてるっていうよりは、普通の21歳の女の子としても生きてると。
城 そうですね。うん。
松本 二人は歌以外にめっちゃ興味あることとかあるんですか?趣味とか
河野 趣味?
松本 うん、歌以外にそれだけ自分をかけられる場所ってどっかにありますか?
河野 それは音楽以外みたいなところで?
松本 音楽以外みたいなところでかなぁ。城さんはピアノにまだ未練があったらピアノでも良いんですけど。
城 (笑)あんまりないです。
河野 んー、そう言われるとないんだよなぁ。
松本 そうすると、他の事はなんでもいいや、みたいな風になっちゃいません?もちろん音楽が1つ強いものとして自分の中にあるんだけど、そうすると、俺はたまにあるんだけど、それ以外は全部どうでもいいな、みたいに思っちゃって。それはそれで危険だなとも思うんだけど。
城 うん。
松本 だから他に、それだけ注ぎ込めること、なんか面白い事、ありますか?って話なんだけどね。
城 まぁ、人に見られるお仕事っていうのもあるので、整体行ったりとか、ヨガしたりとか、ダイエットしたりとか
松本 ダイエットするの?
城 っていうよりは、何だろう・・・内面からも奇麗にして。東京に来て肌がデリケートになったんです。奄美の空気とやっぱ違うんで。それで体質を改善したりとか。
松本 俺、実家埼玉なんだけど、ずーっと井戸水で育って、東京に来て、いきなり水道水じゃん?
城 はい。
松本 いきなり毛が生えてきた。マジで。
城 ええっ?ホントですか?
松本 胸毛とか。
城 ええーっ?東京来てから?
松本 東京来てから、完全に守ろうとしてるっていう(笑)。
城 へぇー生えてくるんだ?
松本 奄美みたいな、ああいう大自然なところ暮らしてたら、そりゃ体質も変わりますよね。

城 はい。なりましたね。
松本 東京好きですか?
城 好きです!
松本 嫌いな場所とかあります?東京のこういうの嫌だとか?
城 あー、えっと・・・新宿駅とか。
松本 なんで?(笑)
城 人がたくさんいて、電車の乗り換えとかいっぱいあるし。街とか歩いててもちょっと怖かったりして・・・
松本 怖いってなんか、騙す人が居そうだぞ!?みたいなの?
城 声かけてきたりとか。
松本 ナンパとか?ちょっとちょっと〜とか?
城 はい。
松本 そういう時どんな態度で去なすんですか?
城 最初はすごい笑顔で対応してたんですけど、最近は「すいません!すいません!」ってこう、わぁーっ!て。
河野 それは新宿駅に限らず、渋谷駅とかそういう人がいっぱいいるところは苦手っていうことだよね?
城 そうですね、たぶん行き慣れてないっていうのもあるんですけど、なんか新宿って凄くないですか?
松本 まぁそういう、やらしい所もあるから、欲望も渦巻いてますよ、新宿は。
城 人の多さとか苦手なんですよ。
松本 あと、新宿って、渋谷もそうだと思うけど、県をまたいで来る人の真ん中だから、東京の人はホント3割ぐらいで、それこそ近県の人が7割ぐらいだもんね?
河野 そうだね。埼玉からも千葉からも来る所だからね。
城 人酔いしちゃいますね。
松本 俺、20歳で東京に出て来た時に、駒沢大学に住んでたんだけど、あの辺夜中でもすっごい明るくない?
城 はい。
松本 あの辺って、ちょっと行ったらTSUTAYAとかも夜遅くまでやってるし、喫茶店とかカフェみたいなのもやってるし、ラーメン屋さんとかもやってるし。それは超うれしかったんだけど、20歳ぐらいの時はまだデビューもしてないし、バイトもしてなかったから、とにかくお金がなくて、何も買えなかったんだけど・・・三軒茶屋の世田谷通りに行く方と246の重なる所あるでしょ?あそこに無意味に座ってたりしてた。
城 えええ。(笑)
松本 なんかあそこが奇麗だったの。夜もいつもきらびやかで良いなぁって。夜中にそこで座って、ウォークマンとか聞いてた。
城 へぇー。
松本 城さんは東京に出て来たのは何歳の時ですか?
城 東京に出て来たのは18歳ですね。大学入るのと同時に。
松本 実家に帰りたいみたいな風に思った時はないですか?
城 しばらくは楽しくってしょうがなくって、デビューして2作目を出した時ぐらいに、丁度学校も単位がいっぱい必要で忙しくて、同時に慣れてない歌手活動もわぁーって忙しくなったのが重なって・・・
松本 荒れた(笑)?
城 荒れてはないんですけど、母がそばにいたらいいのになって思ったんですよ、パッっと。それで、母が鹿児島に住んでたんですけど、電話して「お母さん、ちょっと来て」って言ったら、もう仕事も辞めて、東京に来てくれたんです。
河野 おぉ!
松本 えっ!じゃあ、今お母さんと一緒に住んでるの?
城 はい。
河野 すごーいねー。
松本 お母さんこっち来たらびっくりしなかった?
城 でも、母もやっぱり一人娘を東京に出して、心配だった気持ちも大きかったみたいで、来たい気持ちはあったみたいなんです。
松本 なるほどね!あと一歩の所で踏みとどまっていたところを「お母さん来て」って言ったら
城 よし行く!みたいな感じで来てくれて。まぁ一緒にいるのはご飯も作ってくれたり、あったかいお家があるのは良いんですけど、一人暮らしするつもりだった狭い部屋なので、そこに2人で暮らしてると、距離が近すぎて・・・

松本 じゃあお母さんとケンカするの?
城 しますよ。お母さんだけですね、ケンカするの。
松本 何が原因でケンカするの?服、勝手にここにしまわないでよ!」とか(笑)?
城 そうです。靴下どこー?みたいのとか(笑)。あと、私が楽しみにしてたスイーツを食べられたりとか(笑)。
松本 ははは(笑)お母さんはそれまで東京に住んだ経験はあるんですか?
城 大学が東京なんですよ。
松本 お母さんの?
河野 ふーん
松本 あっ、じゃあ慣れたもんですね、東京も。知ってたからこそ、尚更心配だったんだ。欲望都市東京。
城 その・・・学業と歌手活動を両立する手伝いもしたいっていうのがずっとあったみたいで。私が卒業したら鹿児島に帰るって言ってたんですけど、それもなくなったみたいで。(笑)
松本 もうずっといるよーみたいな?
城 はい。東京にこのままいると思います。(笑)
第4回
松本 あの、俺は奄美の友達がいるから知ってるんだけど、奄美の人同士の繋がり方が半端ないんだよね。The SKA FLAMESっていうバンドがいて、メンバーに奄美の人が多いんですよ。ボーカルの伊勢さんも奄美だし。で、ある時伊勢さんと一緒に飲んでたら、その店に3人組ぐらいの若者がいたんだけど
城 はい。
松本 その若者たちが、最近奄美から東京に出て来たっていう話になったら、伊勢さんが「お前等もこっち来い!」みたいなところで、いきなり大宴会みたいになって。全然知らない若者なんだよ?
河野 うんうん。
城 (笑)
松本 で、なんだっけ?お兄ちゃんじゃなくって何て呼ぶんだっけ?「にーやん」みたいの
城 あっ、何とかあにょみたいな。「あにょ」。
松本 そう!そうやって呼び合ってた。もういきなり知らない人と仲良くなっちゃってるから。
城 みんなそうですよ。
松本 で、家族みたいになって、俺は東京の人だから逆に淋しくなっちゃって。この繋がりは半端ねーなって思って。学校で教えられるの?島から出て、島の人に会ったら、家族みたいにしろみたいな。
城 ないですないです。(笑)
松本 もう地域がそうなのかな?俺、あれ感動したな。
城 もう島っちゅは家族っていうそういう考えがあるんです。もうホント一回会っただけで、なんとか兄ちゃん「あにょ」とか、なんとかねーちゃんとか、普段から付けて呼んでるんですけど、みんな家族みたいなところはあって。だから東京とかで会うと尚更じゃないですか?もう一緒に飲もうよ!ってすぐなると思います。
松本 ずっと話してる会話を聞いてて、もともと知り合いなのかなって錯覚するぐらいすごかったー。「あそこ曲がった所にさ〜」みたいな話してるから。島も大きくないんだもんね?奄美って。
城 そうですね、まぁいっぱい集落あるけど、大体集まってくる所は一緒だったりするので。
松本 行きたい。奄美とかでライブやってみたいですよね?
河野 うん。どういうところでライブやるのかな?
城 ライブハウスは一個あって、まぁ小ちゃいんですけど。さっき言った唄遊びの「アシビ」っていうライブハウスがあるのと、あとコンサートできる会館もありますね、大きいのが。あと、私はホテルの宴会できるところみたいのを借り切って椅子並べてライブやったりするんですけど。
松本 いいなぁ。
城 あとはもう屋外とか。皆既日食の時に、結構野外ステージとかいっぱい作ってたりとかしたんで。ライブ出来る場所はあると思います。

松本 この前そのThe SKA FLAMESの人と飲んだ時に言ってたけど、PV撮りに奄美に帰っただけなのに、島の放送みたいので「今ドコドコに住んでる伊勢さんの家のなんとかさんがビデオを撮りに帰って来てるのでみんな集合してください。」みたいになって関係ない人がいっぱい集まったって。
城 (笑)
松本 でも、みんな「よく帰って来た!」みたいな。でも知らないんだよ、伊勢さんのことなんか。島を出たの何十年も前だから(笑)。
城 そうですね。コミュニティFMとかでも、「今日南海ちゃんのライブがあるからみんな行ってね」とかホントみんな家族みたいな感じですね。
松本 いいなぁ。
河野 うん。
松本 なんか俺も自分のふるさとっていうか、自分のアイデンティティを凄く大事にして、そういう曲ばっかり書いてたときもあったんだけど、東京に来て生活してると、なんかそれも全部当たり前のことになっちゃって、それほど、さっき言ってたみたいに自分の実家に帰りたいみたいな気持ちもなくなって。しかも子供もいるから。
城 はい。
松本 基盤がもう東京になっちゃったから。なんかその、自分の住んでた故郷の歌みたいな、そういう気持ちが年々減って行くのが俺は淋しいな。そんな感覚ない?丈さん?俺はなんかこう、東京に出て来た頃にノスタルジックなところとか、センチメンタルになる瞬間とかあったけど、30歳過ぎるとそういうのなくなっていきません?まぁ、丈さんもともとないか。
河野 もともとないんだよ。あんまり。
松本 お母さんが怒るぐらいなかったんだもんね。丈さんのお母さん言ってたもん。「東京に出て行ったら行ったっきりで、全く帰って来ないから」って俺にぼやいてた。
城 (笑)
河野 うん。僕そうなんだよね。自分が育った所っていうのにそういう思い入れがなくて。薄情な・・・
松本 男なんですよ。

城 (笑)埼玉近いですしね。
河野 そうなんです。
松本 笑っちゃうよね、そんな近いのにこんな話してね。だって今、埼玉まで40分だよ。
城 電車乗ったらいつの間にか埼玉に入ってますよね。
松本 そうですよ、もう。
城 それが私の感覚で無いんですよね。奄美って島なんで電車もないし、他の県とか他の土地に行くのがすごい大変なことで、ホントに遠出みたいな感覚でだから。
河野 うん。
松本 あのー、奄美出身の歌い手って今は若い人もいるでしょ?元ちとせさんと城さんとかいて、中孝介さんもそうか
城 はい。
松本 シマ唄がベースにある歌手がちゃんといて、その人たちが世に出てるから今の若い人は奄美を普通に知ってるけど、それこそ元ちとせさんより前とかって、そういう歌手はいなかったでしょ?俺等が普通に東京に暮らしてると奄美ってどこすか?みたいな
城 そうですよね。奄美って、もともとは大和朝廷のもとにあって、その後、琉球王国に支配されたり薩摩藩に支配されたり、その後アメリカだったりって、色んなところに支配されてきた島だから、なんかこう・・・沖縄の人って言われたら違いますっていう気持ちがあるし、じゃあ鹿児島の人って言われたらそれも違いますっていう気持ちもあるし。だからといって奄美ですって都会に出て言うのもなんか気が引けるところがあるんですよね。
松本 なるほど。
城 でも、元ちとせさんが出て、島の音楽が認められたりとか、ちょっとずつ、島っちゅとしての誇りみたいなのが、奄美の中にどんどん生まれて行ってるんですよね。だから今では、「奄美です」って言っても皆さん「あっ、あそこね!」って言ってくれたりとかすごい嬉しいですよね。
松本 あの・・・元ちとせさんが出て、奄美ってこういう島で、こういうシマ唄があるんだって知られる前は、その時に過ごしてた若者はそこまで自分の島のシマ唄に関して、全然意識的ではなかっていうことでしょ?
城 はい。
松本 じゃあ、もし誰も出て来なかったら、ホントにシマ唄みたいになって若い人はもう全然歌えない、知らないみたいなことになっちゃうってことでしょ?
城 本当にそうだと思います。だから元ちとせさんは奄美に革命を起こしたって思います。
松本 やっぱりそうなんだ。
城 若い人たちも、私もシマ唄歌いたいって、すごい聞くようになったから、私もちょうど元ちとせさんが有名になったとき、転校してその時にいた学校が、元ちとせさんが先輩にあたる学校だったんです。それで、より周りも盛り上がってて。
松本 うんうん。でも話聞いてたら色んな所から支配とか植民地みたいになって、だからより一層ブルースみたいって言ってたけど、ばれないように自分たちの魂を残すんだ・・・っていうので残ってるんだろうね。そういうの、埼玉っていうか、平野の陸続きのところにはない文化だよね?
河野 そうだね。
松本 俺この間、民謡酒場っていう全国各地の民謡を演奏してくれるお店に行って来たんですよ
城 はい。
松本 そこで俺、めちゃくちゃ感動して。それは、なんで感動したかっていうと、いろんな地方から東京に出て来てる人たちが普通に酒飲みに来てて、で、そこには自分たちのふるさとの歌を聞きに来てる人が圧倒的に多くて、若い人たちもいたりするんだけど、50歳とかそれくらいのおじさんとかおばさんとかがいっぱいいて、で、自分たちのふるさとの民謡が始まると、その土地出身のお客さんが一緒に歌うんだよね。それを見た時に、圧倒的に感動しちゃって。だって庄ちゃん(庄司信也 Youth Records)だって山形の民謡が始まったら歌えたんだから(笑)。俺ら全然民謡知らないでしょ?
河野 民謡は知らないね。
松本 その光景見た時にすげーなと思ってさ。やっぱ東京までの距離とかも関係あるのかもわかんないけど、なんかその、自分の地元の歌を聞いて、歌って、これが俺たちの中に流れてるもんなんだ!みたいに思えるのが素晴らしいと思っちゃったんですよね。この店、今度みんなで行きましょうよ
城 行きたいです。
河野 うん。埼玉はないだろうね。でもまぁ、埼玉とか千葉とか神奈川とか東京の周りの県は全然ないんじゃないかな?埼玉だけじゃなくね。
城 うん。
松本 でも、休みの日に自分たちの歌を求めて酒場に行ってる人がいるっていうのも良いし。
城 うん。
松本 そうだね。だから城さんがシマ唄がルーツにある奄美出身ということで民謡酒場の話もしたんだけど、やっぱりふるさとの歌って誰でも知ってて、その街の人は誰でも歌えて、それでみんなで盛り上がれればそれだけでいいじゃん!みたいなのを感じたなぁ。だからそこで何も歌えなかったのがすごい恥ずかしかった。
城 うーん
松本 プロの歌手の人が来てるみたいなんですけど、なんか一曲歌って下さいみたいなことになって。民謡ですけど、みたいな
城 はい。

松本 でも俺まったく歌えないみたいな。淋しいでしょ?その感じ。何か地元の歌でもいいですよって言われても、地元、埼玉の歌・・・わかんないなぁって。
河野 でもそこでねぇ、頑張って地元の歌とか覚えてみようって言うのも一つ興味の方向としてはありだけど「私には民謡はバックにありません」っていうのも1つのIDだよって思う。
松本 あー、なるほどね。
城 うん。
松本 結構そこはね、めちゃくちゃ自分の中で考えてたりとかして。丈さんが言ったのは、何もありません、っていうバックボーンってことしょ?
河野 民謡云々に関してはね。そういう人じゃないと作れない歌もあるしさ。まぁ方言みたいな感じで、ちょっと羨ましくも思うけど、無理して自分の背骨曲げてもしょうがないっていうか。
松本 うんうんうん。そう考えると城さん、こんなことがあるかどうかわかんないですけど、例えば、シマ唄っていうバックグラウンドを一回忘れて、歌を歌ってくださいって言われた時に気持ちは込められるものですか?
城 あー。
松本 例えばグインも無しで、あなたの声だけで、今東京に住んでるあなたの思いだけでこの歌を歌ってくれませんか?って言われたとしたらどうなるんですか?
城 歌います。歌は歌い続けるし、歌い続けたいっていうのはあって、でも純粋にシマ唄だけを歌って行くのは違うから。というのもシマ唄だけを歌う人っていっぱいいるし、自分にできることはもっと違うとこにあると思うから。うん。
松本 じゃあ、完全に自分で詩も曲も書いたアルバムを作ってみたいなっていうのも自分の中にあります?
城 うーん自分の中から、自然と言葉とか音が出て来た時に書きたいって思うけど、常日頃作りたいっていうのはないですね。
松本 じゃあ突然、こんなメロディーが浮かんだとか、こんな言葉が出て来たとかっていうのは、普通に過ごしてる中であったりとかします?
城 はい。
松本 そういうものは自分の中でずっと溜めてたりとかするんですか?
城 書き留めておいたりとか、夜中にパッて起きてピアノを弾いてメロディー付けて楽譜にしたりとかはあるんですけど。それを世に出すとかそういうのはあんまり頭の中になくて。
松本 じゃあそれを自分でいつか作品として出したい、っていうことはないんですね?
城 今はないですね。
松本 でも、もしそういうときが来たら、丈さんがそういうプライベートな自分のものを作品にまとめるのすごく得意なんで、その時はまた丈さんと作ってもらいたいなっていうのは思いますけどね。
城 おぉー。
松本 要するに歌手としてっていうよりも、シンガーソングライターとしての城さんのアルバムを聴いてみたいなっていう。俺、なんだかそれを凄い思った。

河野 そうだね。もしそういうのを作る事になったとしたら、城さんの歌声がどういう風に聞こえるんだろうなっていうのは、すごく興味がある所だね。
松本 絶対、また完全に違うものになるはずなんだよな。で、その可能性が2通りあるって素晴らしいなって思うんですよ。俺には、多分1通りしかないって思ってるし。無いと思ってるだけかな?でもそこが2通りあるっていうのは素晴らしい。それがホントの才能って言うんだろうなって風に俺は思うんですよね。是非そういうアルバムを出して欲しい。その端くれみたいのをめっちゃ聞いてみたくない?
河野 うん。
城 なんか、好きなアーティストさんの歌詞カードとか見て、それに自由にメロディーつけたりとかするんですよ。(笑)
松本 最高じゃないですか。俺もやる。全然曲が出来ない時とかに。
城 やります?
松本 譜割りも違うもんね。
城 全然違いますね。
松本 そうですね、じゃあ、もしそんなアルバム作るときは是非丈さんプロデユースでお願いします。
城 是非、お願いします。
河野 是非。今年のうちに何かやりたいなっていう気持ちもあるし。
松本 あの、ホント近々、みんなで民謡酒場行きましょう!ホント楽しかったから。
城 奄美もありますかね?
松本 奄美もあったよ!全部あった。
城 それ1人の人が全部やってるんですか?
松本 違う、色んな出身地の人が働いてんの。だから、津軽の津軽三味線やってる子が、東京で津軽三味線をすごいがんばりながら、お酒を出したりして、時間になると、三味線を弾いてっていう。
城 へぇー。
松本 だから、河内の河内音頭の人もいたりするの。
城 面白い。
河野 前、僕が城さんのライブ観に行った時に、奄美のシマ唄のコーナーがあって、3曲ぐらいやってたよね?
城 やってました。
河野 そのときの印象では、結構にぎやかな歌が多いのかなぁっていう。
松本 あっ、でも民謡酒場でも南の方っていうか、あっちの方は圧倒的に明るい歌が多いんだけど、北へ行けば行くほどなんか浪々と歌い上げる歌が多くなってくる。
河野 北っていうのはホント東北とか?
松本 東北とか。三味線とかもデーンデーンみたいに1音が長い。それがだんだん西へ行くとチャンチャカして来るよね。
城 沖縄は、琉球王国の王様への献上歌だったので、王様を楽しませるような、にぎやかな音楽が多いんですけど、奄美は、薩摩藩の圧政下でずっとサトウキビだけを作る地獄のような生活の中で生まれて来たから、哀傷を帯びたメロディーが多くて、頑張って働いた後に飲めるから頑張ろう!って逆にこう盛り上げるような。そういうのが多いんですよね。
河野 それはホント一緒だね。黒人のブルース、労働歌とかっていうのと。
松本 え?じゃあ奄美って、ゴメン、俺歴史も全然勉強してないからあれだけど・・・もともと、奄美の島があって、そこはもう独立した王国みたいなことだったの?当時っていうか、その琉球王国の前も含めて。
城 琉球王国の前は大和朝廷だったんですけど、その、奄美の歴史書みたいな過去を知るものが全部捨てられてるんです。だからもうずっとそうやって支配されてきたっていう歴史ということしか判らないんですよね。
松本 じゃあみんなが知らないことがあったかもしれないしっていうことだ。
城 はい。
松本 文献が残ってないっていうことなんだ。
城 だから言い伝えで、奄美は結構女性を神様にしていて、巫女みたいな女性が、1番高い山に降り立って、奄美を作ったとかそういう神話みたいのはあるんですけど。
松本 なるほどねー。歴史がないと生まれない歌はありますね。
河野 うん。
城 だから今、大学4年生で卒論を書いて、シマ唄のことやろうとしてるんです。
松本 その論文、出来上がったら読みたい!物販で売りなよ!
城 いやいや、A4、20ページぐらいですよ?でも確固たる歴史書がないから憶測で書くことしか出来なくて。
松本 でも、確固たる歴史がない歴史っていうことでしょ?

城 うん。
松本 そんな歴史って、世界を見てもあまりないじゃないですか?
城 ないですねー。大和朝廷だったっていう事実も歴史書で分かってるんじゃなくって、奈良の方に大島紬っていう奄美の織物が残ってるから分かってる事なんですよね。
松本 要するに献上してるっていう?
城 そうです。
松本 なるほどなぁ。良い話をありがとうございます。
城 いえいえいえ。
松本 と言う訳で、次は、俺のエスコートで、みんなで民謡酒場に行きますから!

城 はい!楽しみ。
松本 今日はどうもありがとうございました!
河野 ありがとうございました。
城 ありがとうございました。



